2014-07-01

大学図書館職員長期研修@つくば、始まりました!

以前ご報告しました、大学図書館職員長期研修@つくばが、始まりました!
2週間にも渡る研修ですので、まとめてはレポートできそうにありません。そのため、できるだけこまめに、更新したいと思います。


連日の研修ですので、各プログラムについては、一言ずつの感想くらいが精一杯になると思います。研修内容はもとより、次年度以降受講する方のために参考になる情報を残せればいいな、と思います。


★開講式・オリエンテーション&来年へのアドバイス


朝一番にまず、オリエンテーションがありました。筑波大学図書館長のご挨拶、受講上の注意、ID申請などなど。丁寧なお話・充実した資料がありますので、特に不安は感じませんでした。

メインとなる会場は無線LAN+全席電源完備ですので、PC等の持ち込みはとてもしやすいです(グループ討議等は別会場も使うようですので、場合によっては電源確保が難しいかもしれません)。
ソーシャルメディアによる発信も、講師に礼を失しない程度であれば自由とのことでした。

会場は広く、若干温度調整が難しいようでした。一日の中でも温度の上下がありましたので、来年受講される方は薄手の上着等、調整できる服装を準備しておくといいでしょう。
休み時間には、会場外にお茶等をご用意頂きました。ここで一服しながら名刺交換することができ、休み時間を有効活用することができました。

筑波大学の皆さんのお心遣いは、非常に素晴らしいです。何か困ったことがあれば遠慮なく相談できる雰囲気もあり、しっかりとした支援を頂いていることを感じました。


★講話「最近の大学図書館を取り巻く環境と今後の対応」
(文部科学省 研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室長 長澤公洋氏)



学修環境整備に関わる主な政策提言、そのための学術情報基盤の整備、学術情報の流通・発信、大学図書館への期待などといった内容でお話を頂きました。

いずれも、政策提言類からの抜粋やまとめ的なお話で、特に目立った点はありませんでした。よく整理されてはおいででしたが、こうした政策提言類に対し一定の理解をされている方であれば、復習に留まる内容でしょう。

一つ分からなかったのは、「講話」というスタイルです。
お話が終わったら、質疑応答もなくそのまま講師は退席されてしまいましたが、そういった性格のものなのでしょうか?次世代の管理職候補者を対象としたこういう長期研修であるからこそ、きちんと質疑応答を行う必要があると感じました。


★「大学経営と図書館」(東京大学附属図書館長 古田元夫氏)


現職の大学図書館長である古田氏から、大学の変容、法人化と図書館、図書館長のリーダーシップ、東京大学の新図書館構想などについて、お話がありました。率直に言えば、いささか総花的で無難な内容にまとめた感がありました。

質疑応答では、今回も一番に挙手し、以下のようなやり取りをしました。
Q1. 東大の教育改革の柱について、図書館が「自己主張」と言われたが、全学のコンセンサスになっているのか?従来の図書館長だけに任せず、こうした部分にコミットするスキームが必要ではないか?

A. 当初大学がこの改革を持ち出したとき、図書館との連携はできていなかった。しかし図書館の働きかけにより、現在は大学のイメージ図に図書館のこうした提案が含まれるようになった。新図書館構想を検討中の現在、これは追い風にもなった。

Q2. 「データベースなどにも通じたレファレンスの専門性が重要」とのご指摘であったが、むしろこうした大学改革にあっては、プロデューサーやマネージャー的な能力が必要なのではないか。自分たちの考えたことを、学内や社会にメッセージとして伝える能力を持ったライブラリアンが必要ではないか。

A. それも重要。現在は電子化に一定の取り組みをした後で、図書館の重要性を訴えられる最後の機会だと思っている。きちんと発信していきたい。

私的なことを言えば、今回の研修にあたって決意していたことの一つは、最初の質疑応答で一番に挙手することでした。
中堅・役職付のライブラリアンが集まっている研修で、質問が出ないようなシチュエーションは、絶対に作るべきではありません。最初に勢いよく質問する人がいることで、他の人たちが質問しやすくなれば、との思いでした。

それが役立ったかどうかは分かりませんが、以降の質疑応答では何人かが挙手されていて、ひとまずは目的達成といったところです。




★「大学の経営課題 〜職員が担う大学の未来〜」
(筑波大学大学研究センター長 吉武博通氏)



間違いなく、この日一番魅力的な講演でした。
要約は非常に難しいのですが、今世界で起きていることなどを背景として説明しつつ、大学改革の構造・進捗状況などについて、講演を頂きました。

中でも、現在国策的に進められようとしているトップダウン的な図式に対するお話が、印象的でした。従来のボトムアップとの調和をどこに図るか、それこそが大学改革の本質であり、これに答えを出した大学が生き残る、というものでした。
社会が複雑化する中で、もっと精緻な議論をしていこう、という先生の言葉は非常にしっくりときました。

質疑応答では、また質問をしました。
私も日本人ですので2コマ続けては挙手をしにくいのですが(笑)、お話があまりにも面白かったので、ついつい。
Q. 「これからの人事が大切、どういう人材が欲しいか明確に。今いる人は、ある意味仕方がない」という話があったが、あまりにも悠長ではないか?大学に、今いる不要な人材がいなくなるのを待つ時間はないと思う。

A. 15年間あれば、大学の教員は半分入れ替わる。そうなれば、大学は変わる。それに、職員は必要性に応じて変わることができる。かつて石油ショックや為替レートの激変に襲われたとき、わずか数年で乗り越えた日本の力を信じるべきだ。
思うに、図書館員はもっと図書館情報学以外の分野の人の話を聞くべきでしょう。吉武氏はいわゆる図書館情報学がご専門ではありませんでしたが、大学・社会の現状を見据え、非常に素晴らしい示唆をくださいました。


★懇親会


初日の夕方は、学内で懇親会がありました。
ここには受講者のほぼ全員が参加しているようで、大勢の方々と楽しく話をしたり、情報交換をしたりすることができました。図書館長も挨拶でおっしゃっていましたが、表の目的は最新の知識を学ぶこと、だが隠れた目的は頼れる仲間をつくること、とのことでした。
この会を通じて、その裏ミッション(?)を果たすことができました。来年度受講の方もぜひとも参加するべきでしょう。

なお、懇親会には筑波大学の先生・ライブラリアンも多くご参加くださいました。
受講生が35人程度でも、名刺はもっと多めに持っていきましょう(50枚は欲しいところです)。


★初日を終えて


まずは、初日は順調な滑り出しでした。筑波大学の皆さんのおかげで、快適な一日でした。
まだ受講生全員とはいきませんが、大勢の方々とお近づきにもなれました。明日以降も、頑張っていきたいと思います。

来年度の受講生へのメモを兼ねて、いろいろと書きました。明日以降もこうした点に留意しつつ、できるだけこまめにアップしていきたいと思います。


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