2016-10-26

図書館見学で大切にしたい3つのこと

「武雄市図書館ってどうですか?」
同館が話題になったとき、よくこう聞かれました。私の答えは決まって、「行ったこともないので、分かりません」。

話を聞いたり記事を読んだりしていましたが、見たこともない図書館のことをどうこう言えるはずもありません。

イメージ画像:秋の公園




★見学して思ったこと


最近私は、よくあちこちを見学しています。
例えば、海士町中央図書館(ライブラリー・オブ・ザ・イヤー優秀賞!)、岡山大学附属図書館瀬戸内市民図書館東京工業大学附属図書館などです。

こうした魅力的な図書館を見学する中で改めて感じたのは、「多くの図書館を自分の目で見ることには、大きな意義がある!」と言うことです。冒頭の武雄市図書館の話ではありませんが、自分の目で見てこそ、です。

海士町中央図書館の窓辺
(本当に魅力的な海士町中央図書館)




★図書館見学で大切にしたい3つのこと


Webサイトなどで見るのと、実際にその場へ足を運ぶこととは全く違います。見学では、大切にしたい3つのことがあると思います。

  • その館の空気を体感すること
    写真では分からない、その場の空気があります。建物の質感、空間のあたたかみ、資料の存在感、そして利用者の息づかい。こうしたものは、その場でのみ感じ取れるものでしょう。

  • そこで活躍するライブラリアンに会うこと
    魅力的な図書館には、魅力的なライブラリアンが必ずいます。見学の際には、ぜひその館のライブラリアンに、話を聞かせてもらいましょう。その情熱に触れ、運営側の声を聞くことで、さらにその館を理解することができます。

  • なぜこうした図書館なのか、その背景・理由を理解すること
    その大学やそのまちに、なぜこの設備・施設・サービスが必要なのかを知ることが重要です。
    どれほど派手な施設であっても、そこにニーズがなければ何の意味もありません。逆に地味でも、その館の利用者にとっては大きな意味を持つこともあります。
    どういう必要性でその姿ができているのか知ることで、図書館のあり方を考えるヒントになります。
    (この点からしても、やはりその館のライブラリアンに案内してもらいたいですね)

瀬戸内市民図書館 入口前
(居心地の良すぎる瀬戸内市民図書館)



(木の香り漂う、岡山大学附属図書館「サルトフロレスタ~飛翔の森~」)



★次のオフの日に


私は、海士町中央図書館や瀬戸内市民図書館が、本当に魅力的な図書館だと断言できますし、自分が住民なら頻繁に通います。そう言い切れるのも、短い間とは言え、そこで過ごしたからです。

図書館の評価は、まちの住民などその利用者にしかできないと思いますが、私たちが足を運んで学べるものもあるはずです。

皆さん、次のオフに、気になるあの館に行ってみませんか?きっと何か学びがありますよ!

東京工業大学附属図書館
(建物自体がもはやアートな東京工業大学附属図書館)




●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

日々、成長の著しい、きょーこ。何しろ、自分で「きょーちゃん、お姉ちゃんになったで〜!」と毎日言っているくらいです。(笑)


最近は「昨日」と抽象的な概念を使い始めたり、「3つ(3人)で行こうね」などと数も口にしたりするようになりました。

きょーこの姿を見ていると、れいこの成長を思い出します。
早くれいこ姉ちゃんみたいに、立派なお姉ちゃんになるんやで、きょーこ!

2016-10-22

情熱ある非正規の方こそ、打って出るべき!
(シダックスさん「自分の商品価値を高める!」研修報告)

シダックスさん図書館と地域をむすぶ協議会さんにお招き頂き、東京で講師をしてきましたので、そのレポートを。

イメージ画像:紅葉



★「自分の商品価値を高める!」研修


今回の研修は主に非正規の方に、「自分の商品価値を高める!」ことを考えてもらうためのものでした。
(「非正規」という言い方は上から目線に感じられて好きではありませんが、今回はこれで統一しました)

前半は私の講演、後半はパネルディスカッションでした。
私の話は(転職も含めた)キャリアアップのススメでしたが、こうした話を自由にさせてくださるシダックスさんは太っ腹ですね!こうした社風が、伸びやかな人材育成には大切ですね。

会場外観
(会場のシダックス・カルチャーホール)


★私の講演


私のスライドは、以下の通りです(公開用に一部修正加筆)。




ポイントは、以下の通りです。

  • プロのライブラリアンとして活躍したいのであれば、自己研鑽を重ね、自分の商品価値を高めていくべき。見合った処遇と、大きな仕事を手にしよう!

  • そのために、「つながり」、「マイ・ミッション」、「セルフ・ブランディング」という3つのアクションを提案する。

  • 情熱ある非正規の方こそ、打って出るべき。自分のため、まちのため、自らが成長し、よりよい図書館を作ろう!


私の話は、ご自身で考えるためのヒントに過ぎません。研修に参加された皆さんがご自分で考え、最初の一歩を踏み出してくだされば、講師冥利に尽きます。

私の話を受けて、早速ご自分なりの一歩を踏み出してくださった方々もいらして、本当に嬉しいことです。
情熱と前向きマインドを併せ持つライブラリアンが、よりよい処遇と、大きな文脈を持った仕事を手にすることを、願っています!

会場ホール



★パネルディスカッション


慶應の太田先生をコーディネーターに、シダックスの笹沼館長、垰下館長、大山さん、前田さんという豪華メンバー+私で討論しました。それぞれの立場から様々な意見が出され、とても興味深いものでした。

一言だけ言うなら、とにかくもっと時間が欲しかったです。
このメンバーにそれぞれの思いを存分に語ってもらうには、倍は時間が要りました。私も企画検討に加わっていましたので、大いに反省です。



★管理・営業部門にも研修を


講演後、(現場スタッフではなく)管理・営業といった部門の方々が何名も、名刺交換に来てくださいました。
皆さんに私の話が響くとは意外でしたが、このテーマに強い関心を持っておいででした。

こうした管理・営業部門の方と話をしていると、彼らを対象に「ライブラリアンをどう成長させるか」といった研修が必要だと思いました。
現場スタッフを活かすも殺すも、支援次第です。管理・営業部門こそ、しっかりした学びが必要ですね。

講演の様子


私自身、いろいろと考えさせられる研修でした。
ご参加くださった皆さん、シダックスさん、図書館と地域をむすぶ協議会さん、ありがとうございました!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

20日は、れいこのバースデーでした(セカンド・バースデーではなく、本当の誕生日)。主役のいないバースデーも、もう5回目です。
本当だったら16歳になっていた、れいこ。


(大好きなお母さん特製アップルパイで祝ってもらう、うそれいこ&きょーこ)

5回目というのが、節目のように思えるのでしょうか。このところ連日、れいこのことを何度も何度も思い出します。毎日毎日、ついホロリ。

れいこ〜、お父さんはお前のことを、いつまでも大好きやけんね!!

2016-10-17

一部の人にだけでも伝えたい、と宣言してみた
(大学図書館職員短期研修・西日本会場での試み)

このところ続けて、過分の舞台にチャレンジする機会を頂いています。マイ・ミッションを遂行する上で、とても嬉しいことです。

イメージ画像:空と雲



★大学図書館職員短期研修(西日本会場)


この研修で講師をするのも3年目、今年も「大学図書館員のスキルアップ法」を担当しました。講演内容は前年度とおおむね同じで、ポイントは以下の通りです。

  • 自分に必要なスキルは何か、スキルアップには何が必要か。それは、自館や大学の状況に応じて、自分で考えるべき。

  • 目線の高い仲間と一緒に頑張ることで、いろいろな気付きがあり、それが成長につながる。大勢の仲間とつながり、学ぼう。
    スキルはむしろ枝葉、仲間と成長しようという気持ちこそ幹。自分の幹を、高く太いものに!

  • 伝統的サービスで、高い評価を勝ち取れなかったライブラリアン。では、これからは?

なお、当日使用したスライドはNIIのサイトで公開予定ですので、ぜひご覧ください。

当日の案内板



★受講者へのメッセージ


今回は、よりメッセージ性を高めるよう努力しました。特に冒頭で明確に、自分の講演の性格を伝えたことが良かったと思います。

「他の講演が、聞き手に10情報を与える応援だとしたら、私はそうではない。1部の人にだけしか届かなくてもいい、10ではなく100のマインドを届けたい。その人をポジティブに変えるようなものを目指す」といった趣旨の宣言をしました。

どれだけ結果に繋がったかは分かりませんが、少なくとも聞き手に心づもりをしてもらえたのではないか、と考えています。

この点について、人気ブログ「ささくれ」に、少しだけ取り上げて頂きました。私は彼のようにアカデミックな講演はできませんが、彼のコメントを読んで、自分なりのスタイルがあっていいと改めて思いました。

ともあれ、何とか講演を終えることができました。私の話が、全国の若手ライブラリアンのつながりを少しでも広げ、よりよい図書館界、よりよい大学、よりよい社会の一助になれば、これに勝る喜びはありません。

ご参加くださった皆さん、ありがとうございました。
毎年貴重な場を与えてくださり、かつ専念できる環境を作ってくださる京都大学・NIIの皆さんにも、深く感謝します。

講演の様子



★東日本会場


次回は11月29日(火)に、NIIにて同研修東日本会場の講師を担当します。
ご参加くださる皆さん、事務局の東京大学・NIIの皆さん、よろしくお願いします(もしかすると、前夜祭を企画するかもです)。

なお、本研修の講師は、最長3年で運用されている様子。
全国の若手に自分の気持ちを伝えるこの機会、やれるものならいつまでもさせて欲しいですが(笑)、今回が私の最後の出番になりそうです。

最後の講演を、今までで最高のものにしたいと思っています!頑張るけんね〜!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

また、れいこのバースデーが近づいてきました(セカンド・バースデーではなく、本当の誕生日)。
主役のいないバースデーも、もう5回目になります。そのせいか、最近少し気持ちの波を感じます。

れいこ@リラックマストア

先日、れいこのことを考えながら歩いていてふと気づくと、頬に一筋の涙。
自分は(少なくとも昼間は、)感情のコントロールができていると思っていたのですけれど。

でもれいこのため、そしてきょーこのために、前を向いて行くしかないのですよね。
寂しいけど、頑張るけんな、れいこ!

2016-10-06

公共図書館の皆さんとソーシャルメディアについて考えてみた
兵庫県図書館協会ソーシャルメディア研修の講師報告

毎年恒例の大きな仕事、大学図書館職員短期研修の講師が終わりました(今回は西日本会場)。
大きな仕事ですので、これが終わるとホッとします。また来月、東日本会場と「自分の商品価値を高める!」研修がありますので、そちらも頑張ります!

イメージ画像:光の差す山



★兵庫県図書館協会 地区別講習会


9月14日に標記講習会で、講師+ワークショップ運営をしてきましたので、少しだけご報告します。
講演内容については、以下のスライドをご覧ください。




ポイントとしては、以下の通りです。

  • 図書館でソーシャルメディアを使うときは、それを使って何をしたいのか、まず考えるべき。どうしたいのか、どうしてもらいたいのか。それがあって、どうソーシャルメディアを使うか初めて決まる。

  • 組織として運営するのであれば、内容だけでなく、ガイドライン策定・決裁方法・リスク回避等も併せて考えるべき。

  • 個人でもソーシャルメディアを活用し、ライブラリアンどうしつながり、一緒に成長するためのツールとして活用するべき。

「自分たちの図書館でソーシャルメディアをどう使うか、自分で考えましょう。そのためのヒントを差し上げますよ」というのが、今回のスタンスでした。



★ワークショップ


私の話をもとに、6人程度でグループ討論を行いました。
参加者から興味を持ったテーマを出してもらい、即興で3つのテーマを決めました。各テーマについて自由討論をし、シェア発表をして頂きました。

その上で最後に、各自これから何をしていくか最初のアクションを決めてもらい、グループ内で相互に発表してもらいました。

講演の様子


★事前アンケート


ソーシャルメディアの研修を、効果の高いものにするのは、かなり難しいです。
ソーシャルメディアへの理解度・使用頻度(私的にも図書館としても)・関心が、参加者により、かなりまちまちだからです。

先日痛切に反省した経験もあり、今回は参加者に事前アンケートを実施しました。
理解度・関心ごとなどについて事前にお聞かせ頂いたおかげで、講演内容を調整することができました。

聞き手のことを知ることは本当に重要だ、と再認識しました。これからもできるだけ、こうしたいと思います。



★ご縁


この研修は、昨年私が講師をしました石川県公共図書館協議会 図書館実務講習会がベースになっています。
石川の皆さん、そのまた前の愛知の皆さんが貴重な機会を与えてくださったことが、また次のステップ(=本研修)につながりました。

私自身、研修運営を重ねることで、成長できています。こうしてご縁が広がり、講師も受講者もお互いに成長していけるといいですね!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

先日は、れいこの通っていた小学校の運動会でした。自宅にまで放送が聞こえてきて、いろいろと思い出します。

れいこは闘病中も、競技に参加すると自分で言って、競争や組体操にも出ました。懸命に走るれいこの姿を見て、思わず涙がこぼれたものです。

運動会で走るれいこ


小さな学校ですから、れいこがこうした状況の中で懸命に頑張っていたことは、きっとみんなも分かっていたことでしょう。
れいこの頑張りが伝わって、みんなの財産になっていると思います。

みんながれいこから教わったことを、ずっと忘れずにいてくれたら嬉しいね、れいこ!