2015-12-28

利用者さんを知ろう、と1年間やってみた。

いよいよ、年末が迫ってきましたね。
このブログの更新も、あと1回くらいでしょうか。先日伺ったORCIDの話がとても魅力的でしたので、ぜひレポートしたいと思っているのですが、資料を職場に置き忘れ・・・。(涙)




★利用者を知る、ということ


さて、本題です。
どんな仕事やサービスであれ、顧客を知ることがいかに大切か、言う間でもありませんよね。

例えば、前に某大手コンビニ本部の方からお聞きした話です。そのコンビニでは、どういう年代・性別の方がどういった購入行動を取るかを店ごとに徹底的にデータで把握し、それにより仕入れの商品や陳列を決定しているそうです。

このコンビニに見られるように、自分がサービスしたい人たちがどんな方なのか、知らないままに十分なサービスをすることはできないはずです。
(往々にして、できているように見えてしまったり、できていないことを見ようとしなかったりするものですが)

そしてユーザーを知ることが重要なのは、もちろん図書館も例外ではありません。

ところが、多くの図書館はその努力が十分ではないようにも思えます。
自戒を込めて言えば、私たちプロのライブラリアンのうちどれだけの人が、自分の館の利用者さんのことを知ろうと努力しているでしょうか?



★私の困りごと(去年)


さて、ここからは私の取り組みです。
昨年度私は、9年ぶりに大学図書館に戻りました。私はキャンパスのうち、ある学部支援を担当することになりました。異動して半年以上カウンターに座っていましたが、その学部のことは少しも理解できず、判らないままでした。

もちろん、Webサイトやパンフレットに書いてある学部や教員情報、シラバスなどは読んでみました。
・・・が、そうしたものはやはり活きた情報ではないですよね。学生さんたちが、どんな風に指導を受けたり、どんなことを考えたりしているのか、先生方が図書館に何を求めているのか、全く伝わってきませんでした。



★学部に飛び込んでみた


そこで1年ほど前に、学部に飛び込んでみようと決心しました。
例えば、授業に行ったり、学部行事に参加してみることで、教員や学生さんたちを理解できるようになるのではないか、と思ったのです。

ウチのようなある程度大きな大学では、あまり自分のテリトリーを超えることはなく、(私の知る限り)図書館員がこうして学部へ飛び込むようなことは、行われていませんでした。
ですので多少のハードルは感じていましたが、幸い図書館や学部・キャンパスのボス方は懐が広く、チャレンジへの許可をすぐに頂くことができました。

・・・ということでこの1年ほどの間、自分の担当学部のことを知るため、以下のような取り組みをしてました。

  • 授業・ゼミの見学(許可を得て質疑応答へも参加)
  • 学生用オリエンテーション類への参加(新入生ガイダンス、履修ガイダンス、学科選択ガイダンス等)
  • 学生主催ゼミ選択ガイダンスへの参加
  • ラーコモイベントへの参加
  • 大学院生勉強会での講師
  • 学部事務ミーティングへの参加
  • 新任教員の研究内容発表会に参加(本来は教員対象)
  • 教授会での事務説明
  • 学部行事への参加(研究発表大会、留学説明会等)
  • 研究室訪問、教員へのヒヤリング

地味な力技としては、学部の建物に行ったときに遠回りをして、各棟・各フロアを1周したりしています(時間に余裕があるとき限定)。
ちょくちょく先生方と廊下ですれ違いますので、ちょっとした立ち話をしたり、ときには相談を頂いたりすることもあります。

無駄なことを・・・と言われそうですが、そんなことはありません。
私はこうして教員に声をかけた回数、アプローチしようとした回数、ウェルカムな姿勢を見せた回数が、信頼関係を築くと信じています。こうした積み重ねは、決して馬鹿に出来ません。




★その手応え


こうして1年間やってみると、やはり手応えらしいものを実感できるようになってきました。
学部でどういった教育・研究が行われているのか、学部がどういった課題を持っていたり、何に取り組んでいるのか。そういったことが、少しずつイメージできるようになってきたのです。

それが最も直接的な成果になっているのは、3〜4年生ゼミを対象にしている学術情報ガイダンスでしょうか。
これは、担当教員へのヒヤリングを行ってオーダーメイドで内容を組み立て、学術情報の入手・評価・活用等に関するレクチャー・演習を行うものです。

今年度、こうしたガイダンス後にアンケートを取ったところ、予想以上の高評価が得られました。
「後輩たちに薦めたいか」という問いに対し、受講生のうち97%(!)が「薦めたい」と回答してくれたのです。しかも、満点評価が、全体の75%にもなりました(4段階評価で4が75%、3が22%)。

従来こうしたスタイルのガイダンスやアンケートがなかったため、過去との比較はできませんが、それなりに高い評価を頂いていると考えています。
このガイダンスの高評価の要因としては、直接的には、教員への事前ヒヤリングの効果が大きいです。ですがそれだけではなく、1年間あまり教員や学生さんたちを知ろうと努めてきた成果でもある、と捉えています。

(もちろんこの成果は、こうした取組を認めてくれた上長や教員、何よりその間カウンターを護ってくれた同僚たち(もちろんアルバイトさんや業務委託のスタッフを含めて)のおかげです!)

これからも、もっともっと学部を知ることで、サービスアップにつなげていきたいと考えています!

皆さんの館でも必要があるようでしたら、どうやれば利用者さんのことを知ることができるか、検討してみてはいかがでしょうか?
思いがけない、サービスアップにつながるかもしれませんよ!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

れいこのいない生活も、はや3年半を過ぎました。
寂しさはいや増す一方ですが、この毎日にも慣れてもきています。


大勢の方々が、れいこや私たちを応援くださったことを思い出します。
今も、私たちはその応援に感謝しています。

きょーこを健やかに育てることが、その恩返しだと思っています。
ずっとこのまま、きょーこが元気に育ってくれますように。

きょーこを見守ってやってな、れいこ!

2015-12-24

【参加者募集】日本一遅い図書館忘年会@名古屋

先日の記事「本と人をつなげるしおり『kumori』」につづき、ようやく今月3回目の投稿です。
・・・が、今日はイベントのご案内のみです。愛想なしで、申し訳ありません。




★日本一遅い図書館忘年会@名古屋


以下のとおり、またライブラリアンの交流会を企画しましたので、ぜひご参加ください。

時季が時季、しかも直前ですので、10名限定でアットホームに話せる場にしたいと思います。どなたでも歓迎ですので、ぜひ。

★日本一遅い図書館忘年会@名古屋

【開催主旨】
今年を振り返りつつ、館種・身分を超えてライブラリアンの交流を深める会です。
【日時】
2015年12月30日(水)18:00-(遅刻・早退でも歓迎!)
【場所】 【参加資格】
図書館に関心のある方なら、どなたでも。図書館員の場合、特に専任でない方、派遣・委託の方を大歓迎!(所属を公開しにくい方は、館種等のみでOK)
【定員】
10名(先着順)
【参加費】
3,000〜4,000円程度(予定)
【お申し込み】
12月28日(月)までに、karatekalibrarian@gmail.com宛メールにて。お名前・(支障のない範囲で)ご所属をお知らせください。


東海方面の皆さん、ぜひご一緒しましょう!
今回はすぐに満席になってしまう可能性がありますので、皆さん今すぐお申し込みくださいね〜。

2015-12-21

本と人をつなげるしおり「kumori」が素晴らしい!

いよいよ、年末ですね。
とある忘年会でのビンゴ大会に参加していたところ、思いがけなく一等が当たりました!産地直送、食材セットです。


(以前の半分以下のペースとは言え、)飲み会連発で家庭内で小さくなっている私が、久しぶりに鼻息荒く帰宅しました。(笑)
昔、給料袋を持ち帰るお父ちゃんって、こんな感じやったんかな〜?(笑)



★本と人をつなげるしおりkumori


さて皆さん、「本と人をつなげるしおりkumori」のことは、ご存じでしょうか?
先日の第17回図書館総合展ポスターセッションでも優秀賞を受賞したところですから、ご存じの方も多いかもしれませんね。

ご存じない方は、kumoriがどういったものなのか、まずは公式サイトにてご覧ください。


(kumori公式サイトより)

同サイトに掲げられている以下のメッセージが、ふるっていますね!

kumori は本と人をつなげるしおり。
本の紹介を送ると、しおりとなり、様々な図書館で配られます。
あなたの大切な本も、kumori にのせてみませんか?



★自分だけのオリジナルしおり


多くの図書館にとって、最大のコンテンツは今もなお本そのものです。本以外を活用して、本や図書館の魅力を伝えようという試み、とても素晴らしいと思います。

kumoriもまさにその一つ、と言えるでしょう。
特にkumoriの場合、自分の好きな本を題材にしおりを作ることができる点が、最大の特長であり魅力ですよね!このしおりは一つ一つがオーダーメードであり、自分だけのメッセージを送ることのできるメディアです。

私に絵心はありませんが、そのクオリティーの高さは、素人目に十分に感じ取ることができます。その素晴らしい作品の数々を、ぜひこちらからご覧ください。

そのしおりを見た違う誰かが、またその本を手に取ることで、読者どうしが繋がっていきます。本そのもので特集コーナーを設けたりするのとは、また違う意味合いがありますね。
その魅力を活用しようと、これまでに17もの図書館にkumoriは置かれています。


kumoriは、デザイナーの渡辺ゆきのさんが一つ一つ手作りで、描いて作成しています。彼女の「デザインで笑顔を届ける」というコンセプトも、とても素晴らしいですね!

ちなみに渡辺ゆきのさんは、saveMLAK「MLAK(むらっく)くん」のデザイナーとしても知られています。
余談ながら、彼女からはその「MLAK(むらっく)くん」を、れいこに贈ってもらったこともありました(上の写真)。



★サポーター大募集!


そんな素晴らしいkumoriですが、規模が大きくなってきたこともあり、今後の活動には経済的な支援を必要とするようになりました。
そこでこの活動に賛同する皆さんにお願いです、ぜひkumoriのサポーターになってもらえないでしょうか?

サポーターには、まずは始めやすい「ちいさな kumori サポーター」から、たくさんの支援ができる「おおきな kumori サポーター」まで、いくつかの種類があります。ご自分にあった形で、応援を頂ければと思います。

ちなみに、現在サポーターになってくださっている方々は、こちらからご覧になれます。
kumoriの活動に共感し支援されているだけあって、アツい方々ですね!


直接サポーターになるのが難しい方は、kumoriのことを知人に紹介してみたり、ツイートしてみたりするだけでも、応援になります。ぜひ、そうしたサポートもお願いします!

皆さんのご支援が、多くの本と人をつなぎます。ぜひ、kumoriへの応援をお願いします!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。

このところのきょーこ、成長が著しいです。
今までと違い、一人で歌を歌ってみたり、一人遊びが本格化してきたり。おままごとをして、つくったお料理を食べさせてくれることも、しばしば。


「ちゃん(=お父ちゃん)、アチチからね」などと、たどたどしい日本語で注意もしてくれます。(笑)

このまま健やかに、きょーこが成長してくれますように!
れいこの分まで、強く元気に。ただただ、それを願う日々です。

2015-12-07

つながりから生まれた、Library of the Year 2015

先日、大学図書館職員短期研修の講師(東日本会場)を終えました。
昨年に続いて2回目、かつ西日本会場も終えているので多少余裕はありましたが、私にとっても本当に勝負どころでした。

全国から集まる若手ライブラリアンに対し、自分の情熱や信念を伝えたつもりです。受講生の皆さん、ありがとうございました!


当日晩の「東京で『空手家ライブラリアン』井上昌彦さんを囲む会」も満員御礼、59名もの皆さんがご参加くださいました。こちらも併せて、追ってレポートしますね!



★Library of the Year


さて皆さん、"Library of the Year"のことはご存じですよね?
「これからの図書館のあり方を示唆するような先進的な活動を行っている機関に対して、NPO法人 知的資源イニシアティブが毎年授与する賞」です。

このLibrary of the Yearの最終選考会は、毎年図書館総合展で行われています。
今年はLibrary of the Year10周年にあたる年で、先月多治見市図書館が受賞したことは記憶に新しいところですね(最終選考会の動画)。

私も頻繁に出入りしながらでしたがこの場に立ち会えて、本当に良かったです!

(余談ながら。このLibrary of the Yearは近年、クラウド・ファンディングで資金調達をしており、こうした取組も評価されるべきでしょう。私もホントに僅かですが、協力をさせてもらいました)



★つながりから生まれた、Library of the Year 2015


この多治見市図書館のLibrary of the Year 2015受賞には、ライブラリアンどうしのつながりが大きく貢献しています。
いささか大げさに言えば、Library of the Year 2015は、ライブラリアンのつながりから生まれた、と言っても過言ではありません。

この受賞の一番の要因は、多治見市図書館の皆さんの実直な仕事であったことは、間違いありません。審査委員長のコメントからも読み取れるように、誰しもが敬意を払うべき地道で実直な取組と評価できるでしょう。

この受賞にあたっては、会場で同館を推薦するプレゼンを行った小嶋智美さん(Independent Librarian)も、少なからず貢献したことは間違いありません。圧倒的な会場票を獲得した彼女のプレゼンは、本当に魅力いっぱいのものでした。

壇上で熊谷館長が「さとみさん」と呼んでいたことからも判るように、このお二人は強い信頼関係で結ばれています。であるからこそ、この素晴らしいプレゼンが生まれ、受賞につながったのだと思います。


写真は、授賞式の直後に熊谷館長(後列中央)を囲んで、仲間たちと。壇の下に立った自分が真ん中に大きく写ってしまっていて・・・ああ、スミマセン、スミマセン・・・(涙)


実はこのお二人の出会いは、ライブラリアンの私的な交流会です。
とある空手家(笑)が、「愛知に行くけん、ライブラリアンのみんな呑もうや〜」と開催した交流会で、たまたまお二人が出会うことになりました。

お二人はこの出会いを機に意気投合、後日小嶋さんが委員長として開催準備をされていたMIS31への熊谷館長の登壇が決まったほどでした。
(余談ながらこのMIS31は、私が今までに参加したイベントの中でも、最高級のクオリティーでした!)

こうして生まれ、深まったご縁は、このLibrary of the Year 2015受賞という最高の形で実を結んだのです。

この受賞は多治見市図書館のすべてのスタッフの献身的な働きによるものですが、それをこうして世に知らしめたのは、お二人の出会いがあったからこそだと思います。
あの多治見愛に満ちたプレゼン(笑)は、他人同士では絶対にできないものでしたから。

お二人が日々アンテナを張り、図書館内に閉じこもらず積極的に館外へ出ていたからこそのLibrary of the Year 2015と言えるでしょう。


改めて、ライブラリアン同士のつながりの大切さを感じた出来事でした。熊谷さん、小嶋さん、そして多治見市図書館の皆さん、本当におめでとうございます!

他の最終候補の皆さんは残念でしたが、いずれもLibrary of the Year最終候補の名に値する素晴らしい活動をされておいでですね。いずれまた、各候補を改めて訪ねたいと思います。

<●補足とお断り>

上のように紹介しましたが、プレゼンターはノミネート館が指定するものではありません。小嶋さんがプレゼンターに選出されたのは主催者の判断によるもので、お二人の意向だった訳ではありません。
プレゼンターは主催者(=第三者)により選出されていることで、公平性が担保されているのだと思います。

また今回の記事は、特定のお二人を紹介させてもらったものであり、当然のことながらすべての文責は私にあります。内容・記述の不備があれば、その責はすべて私に帰すもので、お二人によるものではありません。



★見学もしてきました


多治見市図書館にはかねてから伺おうと思いつつ、なかなか機会を持てませんでしたが、この機にお邪魔してきました。


多治見市図書館は陶磁器関連資料が特に注目されていますが、それだけではありません。
英語多読への取組、医療健康情報サービス、学校図書館との連携など、様々なジャンルにおいてもライブラリアンが足で稼いだ地道な結果が出ています。

・・・が、ここでは詳しい説明を割愛しますので、その魅力は最終選考会での小嶋さんのプレゼン動画でご覧ください。

「足で稼ぐ」ことをはじめ、こうした図書館の地域に根付いた活動が評価されるのは、本当に素晴らしいことだと思えました。皆さんも、ぜひ一度多治見市図書館へ行ってみてください。

受賞直後の慌ただしい中、ご案内くださった熊谷館長、ありがとうございました!



●れいこと

最後にまた、れいこ&きょーこの話を。
先日、夜間にきょーこを救急に連れて行く羽目になりました。結局大したことはなく、もう心配も不要ですから書いておきましょう。


上の写真のポーズを決め、「きょーちゃん、かわいいで〜」と自分で言っていた数秒後に、後ろへひっくり返りました。ダッシュボードの小さなガラスに後頭部を突っ込んで出血し、夜間救急に駆け込む羽目に。

結局治療待ちの間に血も止まり、翌日から保育園に登園する許可も出たほどでしたが、冷や汗をかきました。
まあ、今回はこれだけでしたので、笑い話で済みましたが・・・。


れいこのことがあってから、わが子の病気やケガに対し、自分が病的に過敏になっているのを自覚しています。病院へ向かう途中も、恥ずかしながら心臓がバクバク、膝がガクガク震えました。

病気もケガもない日々が、本当に幸せだと感じています。
ごくありふれた日常こそ、何よりも大切なものです。家族が元気で健康、何よりの宝です。

これで済んでよかったね、きょーこ!
れいこ姉ちゃんが、守ってくれたのかな〜?