2012-05-31

病気と明るく強く闘う、れいこ
【第337~338日目: 5月29日(火)~30日(水)】

2011年6月28日に始まったれいこの闘病記、337~338日目です。

<●れいこの友達のみんなへ>

こんにちは!れいこのお父さんです。
いつも、れいこのことを心配してくれて、ありがとう。

このブログは、れいこの様子や私の気持ちを伝えるために書いています。
大人に読んでもらうつもりで書いているので、みんながもしこのブログを見たら、分かりにくいかもしれないね。

れいこは去年の6月には、お医者さんに「手術をしなければ、1年くらいしか生きられないかもしれない」とまで言われました。
だかられいこは元気になるために、2度の手術に挑戦しました。そして、手術は成功しました

れいこは今、他の治療を続けていて、少しずつ治しているところです。まだまた時間がかかるけれど、れいこは必ず元気になって、みんなの元へ帰ります。

でも、このブログは、私の気持ちを大人に対して伝えようと書いているので、みんなが読むと誤解させてしまうかもしれません。それが、ちょっと心配です。
だから本当は、ここで読むのを止めて欲しいと思っています。

れいこのことで何か伝えたいときは、学校の先生やお父さんお母さんを通じて、みんなにも伝えます。
だから、このブログを読んでもらう必要はありません。みんなを心配させたくないので、あえてこう書いておきます。

もしこのブログを読んで、不安になるようなことがあっても、心配しないでね。手術はちゃんと、成功したんだからね。 治療の途中で、一時的に具合が悪くなることもあるので、そうしたことが書いてあっても、心配しないでください。

みんなが、れいこのことを心配してくれていることは、先生やみんなのお父さんお母さんたちから、よく聞いています。れいこも、みんなの気持ちを、とても嬉しく思っています。
みんなからチカラをもらって、れいこも早く元気になれると思います。

れいこが帰る日まで、みんな待っててね!


<●大人の皆さまへ (特に保護者の方へ)>

このブログには、れいこの病状に関する情報を、ほぼそのまま掲載しています。
一方で、ここに記しているれいこの詳しい状況は、本人には伝えていません。れいこに話しかけて頂く際はもちろんですが、れいこに接する可能性のあるお子さん方にお話される際、ご配慮をお願いします。

お子さん方に話す必要があるときは、「れいこが頭にできた、悪いできものと闘っている。治るまでには、まだ時間がかかりそう」という点を、お伝え頂ければ幸いです。


お子さん方にとっても、友達がこうした大きな病気と闘っていることは、少なからずショックのようです。れいこはきっと元気になりますが、お子さん方のためにも、お話される際は十分にご配慮ください。

このような危惧をしつつも、あえてWebでの情報発信を行っています。皆さまのご配慮・ご協力をお願いいたします。



○緩和ケア病棟へ

29日(火)、れいこにとって、とても重要な決断をしました。
先日の主治医の提案どおり、通常の治療から、緩和ケアへとシフトすることを決めたのです。2日間、悩みに悩んだ上での決断でした。


ですがこれは、治療の断念ではありません。
私たちは、「絶対にれいこが元気になる」と、今でも強く信じています。小児ケアの専門医のいる緩和ケア病棟に移り、まずはれいこを応援できる環境を作ることにします。

緩和ケア病棟では、家族が一緒に過ごすことができます(小児病棟は子どもの見舞いができないので、お兄ちゃんとは会えないのです)。
広い個室ですので、ちょっと無理をすれば(笑)、家族みんなでの宿泊も可能です。

ここでは、面会も自由です。友達が遊びに来ることもできます。
大型テレビもありますから、目にも障害の出たれいこでも、私たちや友達と一緒にテレビを楽しむこともできます。ソファーや冷蔵庫もあり、ちょっとしたホテルのようです。
最上階の18階からの見晴らしもよく、いろいろなストレスからは、相当に改善されることでしょう。

こうした環境でリラックスし、「面白い」、「嬉しい」、「楽しい」という気持ちをれいこに持ってもらうことで、それをれいこの生きるチカラに繋げたいと考えています。


今回、緩和ケアを選択したのは、まさにこのためです。
治療を続けるのであれば、まだ試す価値のある薬などもありました。あまり可能性が高いとは言えませんが、複数の分子標的薬など、候補はありました。
ですが、私たちはそれよりも、れいこの生きるチカラに賭けることにしました。

これは、れいこと井上家の新たな闘いの始まりです。
今までの治療と異なり、れいこ自身の強い心や、生きたいという気持ちの勝負になるのでしょう。


れいこの闘いは、いよいよ佳境を迎えたのかもしれません。
野球で言えば、9回裏2アウトかもしれません。バッターボックスに立つのは、他でもないれいこ自身です。この試合に勝利するためには、れいこ自身のチカラで打ち克つしかありません。

空手で鍛えてきた、れいこの強さが試されるときです。
ガンバレ、れいこ。ガンバレ!



○意思疎通ができないということ

一方で、れいこの体調はあまりよくありません。
27日(日)に救急車で運ばれて以来、ずっと目が離せない状況です。

体温は、平熱から一気に38度台半ばまで上がります。脈拍数も多く、少ないときでも120、多いときは160台です。これは、全力疾走後のようなものだそうで、それが5日間も続いています。また、血圧も高いときは、すぐ160以上になってしまいます。


しかし、そんなことよりも、一番の悩みは麻痺の進行です。
日曜以来、手足は本当に自由が利かなくなりました。特に左手の強張りはひどく、硬直と言っていいレベルです。
飲食も、できません。体を支える力もなくなっていますので、起こしてやっても、椅子に座ることもできません。
何より、れいこはほとんど喋ることができなくなってしまいました。表情を変えることすら、困難になってしまっています。

今のれいこは、声をかけても反応できることは、ほとんどありません。
稀に体調が良いときには、手をかすかに握り返したり振ったり、わずかに頷いてくれることがありますが、それらも普通は困難です。


脳幹部の腫瘍のため、れいこはほとんどあらゆる運動機能を奪われつつあります。
そしてそれは、私たちとの意思疎通ができなくなることを、意味しています。れいこは自分の意思を、私たちに伝える方法を持ちません。
言葉もゼスチャーも持たないれいこは、「暑い」だとか「頭が痛い」、「水が欲しい」といったことすら、私たちに伝えることができません。


これを書いている今夜も、横のベッドで、れいこはもう4時間近くずっとウトウトしながらも眠れないようです。頻繁に寝苦しそうに、呻き声にもため息にも聞こえる声を出しますが、それが何を訴えているのか、私には判りません。

さっき測ったら熱が38度8分も出ていて、解熱剤があまり効いていないようで、相当しんどいのでしょう。ときどきれいこに声をかけてみるものの、今夜は反応を返すことができないようです。

意思疎通できないということは、辛いことです。
横にいるのに、何もしてやれないという無力感と罪悪感。れいこが3時間も苦しんでいるのに、何もしてやれません。
娘がずっと辛い思いをしているのに、すぐ傍にいる父親が何もしてやれないというのは、耐えようもない苦しみです。

早く緩和ケア病棟へ移してやり、れいこの痛みを取り除きつつ、れいこ自身のチカラで快方に向かって欲しいと思います。強く強く、それを願います。



○今日も感謝

この数日、さらに多くのメール、ツイート、フォロー、お電話などを頂いています。また、「れいこ お助け隊」にも新しく参加のお申し出を頂きました。

大勢の方々が、れいこの無事を願い、私たちの身を案じてくださっていますこと、感無量です。皆さんのお気持ちが、私たちを支えてくれています。ありがとうございます。
(相変わらず、頂いたメールやツイートには、ほとんど返事をできていませんが、ご容赦ください)



詳細は書きかねますが、以前宝塚にお勤めだった神戸の方から、音楽のプレゼントをしたいというお申し出を頂きました。
直接のご縁はない方ですが、このブログやTwitterなどでれいこのことを知り、温かいお申し出を頂いたものです。お心遣い、本当に嬉しい限りです。


また、れいこが小学校でお世話になっている@tii47さん、いつもTwitterを通じてれいこへのアドバイスをくださる@miwa_chanさんが、お見舞いに来てくださいました。
お二人とも、れいこが返事もできない状況をご存じで、遠方から駆け付けてくださいました。感謝の言葉もありません。


私たち夫婦の先輩でもある@sayoko0218さんは、7月8日に神戸で開催される、水木一郎さんのライブのチケットを贈ってくださいました。
れいこがこの状況であるのに、1ヶ月以上先のイベントに行けると信じて、チケットを用意してくださったお気持ち。そのお気持ちに、熱いものが流れました。れいこはきっと元気になって、このライブに参加することでしょう。

(それにしても、れいこは、本当に水木一郎さんが大好き!このチケットのプレゼントのことを伝えたら、動かない口元をわずかに動かし、喜びの表情を浮かべていました)


皆さんのご厚意、本当に嬉しいです。
メールやツイートにお返事もできていませんが、 れいこが元気になることが一番の恩返しですよね。きっときっと、その恩返しをさせてもらいますね!



<●最後に、れいこへ。>

れいこへ。

この前から、しんどい日が続くなあ。
喋れんし、ホントに辛いと思うけど、お前はよう頑張りよる。褒めてやりたい。


お父さんは、お前の横でおるのに、何もしてやれんことが、ホントに辛い。絶対に良くなってくれると信じとるけど、それは別として、お前が苦しんどるのを見るのは辛すぎる。お父さんにしてやれることなら、何でもするのになあ。

週末前後に、新しい病棟に移る話をしたやろ?あそこでまた、気持ちをリセットして、一緒に頑張ろうや。
お兄ちゃんや友達も来てくれるし、テレビも見られるけんな。
れいこの大好きな水木一郎さんが出る番組を、みんなで一緒に見られたら最高やな。


辛いことが多いのは、きっと後で幸せになるためなんやろな。
大勢の人たちが、お前の応援をしてくれとる気持ちに応えるためにも、元気になって、幸せにならんとね。

こんな大きな病気を乗り越えられたら、残りの人生に怖いもんなんか、ないで。
それにこの経験をしたお前は、どれだけ大きい人間になれるやろう。病気の怖さ、それを克服した経験と強さ、みんなの温かい気持ちを知った心。

この病気を克服した後は、きっと素晴らしい人生が待っとるよ。

ほやけん、早く元気になろう。
お前が元気になるのが、一番の恩返しやぞ、れいこ。

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